「好きな本」って、聞かれても咄嗟に出てこなくない?
ひらぴすです。
この前、「好きな小説は?」と聞かれて、本当は好きでしょうがない作品がたくさんあるのに、咄嗟には全部出てこなくて悔しい思いをしました。
いまならゆっくりと思い出せるので、おすすめ作品を書いてみます。
基本的には、主人公が『自意識強め』『こじらせてる』『世の中のこと斜めに見ちゃう擦れた女性』的な作品が好物です。
小説が主ですが、漫画と映画も思い出したのでちょこっと書いています。
では、どうぞ。
けだるい文体・雰囲気がしみる小説
『120%COOOL』山田詠美
例えるならば、東京の、古くからある、飾りがいっぱいの喫茶店みたいな、レトロでオシャレな空気感の本。
ひとつの話が短いから読みやすい。
とくに『NEWSPAPER』。
英字新聞でいっぱいの学生の部屋。人妻の恋愛の話。よかったな。
なんかあんま詳細までストーリー覚えてないんだけど、山田詠美の文って読んでると言葉のリズムに「くうううううう・・・・うううしみる・・・!!」ってなるんだよな。
どこまでもカッコいい文章。
自分を揺るがせない。
圧倒的かろやかでどっしり芯がある女性。
『風味絶佳』山田詠美
ゴミ収集に来る男性と恋。
ロマンチックな短編集。
ふたりのあいだだけで通じる、ねっとりした愛のはなし。
『スイート・リトル・ライズ』江國香織
たんに浮気とか不倫で片付けられない愛の交錯。
スキー場の描写を何度も思い出す。エモい。
ふたりとも愛してるんだから、しょーがないよね。
『痴人の愛』谷崎潤一郎
好きな女子に振り回されるのって男の幸せだと思う。
肉体的な魅力には抗えない。
ナオミの生粋の魔性の女感。女子の多くはナオミみたいになりたい、と思うのでは。
……と、セットで↓
『賢者の愛』山田詠美
親友と父の恋……きっつかった。
きっついんだけど、面白い。
ドラマティックで心揺さぶられる。
最終的には復讐するから、重い内容でもスッキリ。
『生きてるだけで、愛。』本谷有希子
中1のときに初めて読んだ本谷有希子。
雑誌(たしかダ・ヴィンチ)でオードリー若林が好きって言ってたから読んだ。
当時は躁鬱とか全然ちゃんと理解してなくて、津奈木っていうエモい名字の男性とのけだるい恋愛みたいな話、って片付けてたけど、年齢を重ねてから読むととてもよい。
躁鬱ぎみな時期を通ってきたあとに読むと、共感しかない。
独特の空気感。
”普通”になれなくて、世の中についていくことができないかなしみと、「世界ってなんなんだよ。」っていう静かな怒り。
『異類婚姻譚』本谷有希子
人間と思ってた夫が、実は人間じゃなかった話。
絶妙な可愛らしい言葉選びがほんとキュンってなる。
PCをいじれない主婦の主人公が 、”カーソルがビョン!とはじかれてしまう” みたいなことを言う表現があって、めちゃくちゃ可愛いなと思った。
本谷さんってほんといくつになっても可愛い人なんだと思う、等身大でチャーミング。
『自分を好きになる方法』本谷有希子
これよ……これ。
本谷さんの人生観にひれ伏す。
ある女の子の幼少期から晩年の、6日間が書いてある。
1日ずつなのに、主人公の考え方・生き方・他人との関わり方が詰まってる。
一番共感するのは「自分の居場所はここじゃない気がする……」ってずっと思ってるところ。
私の話だ、って思える。
(いまは、自分に素直になれることが増えて、居場所があると感じるけどね。)
他人との関わりの中で、自分でもよくわかんない行動をしちゃうことってあるよね〜って言ってわかる人なら、面白いと思うはず。
重苦しい系
『ツ、イ、ラ、ク』姫野カオルコ
登場人物多いし、長いし、関西弁だし、最後まで読むの大変なんだけど読んだあとはずっしり残る。
キーワードは”早熟”。
主人公の隼子(じゅんこ)は中学生のくせに、大人すぎて嫉妬した。
ヌルヌルしたリアル感のある、もう収まんなくなっちゃった先生と生徒の恋愛。
『グロテスク』桐野夏生
東電OL事件。立ちんぼの話。劣等感。
うず。女同士の。。
これ読むと渋谷、神泉に思い入れができる。
こういうの、読んじゃうよね〜。
読み終わってもつらい気持ちにしかならないのに。
『グラビアの夜』林真理子
卒論でも取り上げた本。
女って消費されるよね……って改めて自覚させられる。
若い子はそこに自分から飛び込んでいって消費されに行く。
既婚者だって若い子と遊ぶけど、愛されたいって求めたらそこで終わり。
それでもしたたかに生きていくしかない。
エッセイは絶対これ!
『えいやっと飛び出すあの一瞬を愛してる』小山田咲子
これが刺さんない人はいないと思ってるんだけど。。。
バンド andymoriの小山田壮平さんの、亡きお姉さんが書いたブログをまとめた本。
ピュアでまっすぐに自分の思考で生きてる彼女が、日常の尊さ、世界の美しさを教えてくれる。
流れるような文章に、ほんとうに頭のいい方だなってリスペクトが生まれざるを得ない。
そして、こんなに才能の溢れる彼女はもう地球にはいないっていうせつなさ。
『傷口から人生 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』小野美由紀
終活失敗して、海外を歩き続けて、出会いの中で、自分に立ち向かう。
ブラジルの言葉で『未解決の人間』(マオ・レゾルビーダ)という言葉がある。
人生の問題に立ち向かう人と、目を背けている人とで、死ぬ時の幸福度は天と地だと思う。
まあ、日本で会う人、だいたい未解決だと思うし、解決したとしても常に問題は現れるけど、姿勢の問題なんだよね。
自分に、人生に、真摯に向き合ってるか。
とにかく、生きやすさを手に入れるヒントは詰まってる。
小野美由紀のこじらせ方と尖り度合いは爽快。
気持ちいいくらいこじらせてて、それを客観的に認識して自意識と戦ってる感じが超好み。
単純に面白かった本
『会社ごっこ』宗美木蘭
若い女の子が起業する話。読みやすいし、続きが気になってすぐに読んじゃう。
単純にリアルで面白い、起業って意外と派手なことじゃないよって知れる。
『愛されなくても別に』武田綾乃
お金使いが荒い母との問題を抱える大学生女子の話。
ふたりのフレッシュな女子の、疾走感のあるアクションシーンみたいな小説。
作者と自分の思考回路が似てててさらっと読めた。
『今度生まれたら』内館牧子
60を過ぎて、夫と息子がいて、「自分の人生って客観的にどうなのか?」と考え続ける女性の話。
人間の思考ってそんな変わらなくて、意外と60過ぎても生まれ変わってることなんて、自分から変わろうとしない限りはなくて、残念ながら自分のままだ。
プライドが高いまま、他人軸で考えてると年老いたときこんなになっちゃうよってわかる本。
人生とは……幸せとは……って考える。
最後はわりと明るい感じ。
『あのこは貴族』山内マリコ
「東京・松濤出身」がどんな意味を持つのか。
地方出身者には最初まったくわからないんだけど、ほんとに階級ってあるんだよね。
ネトフリで映画が公開されたらしく、予告編がよさそうだったのでまずは小説を読んだ。
ここ最近でいちばん好き。あんまりひねくれてない格差社会の文章、初めて。
女性同士で蹴落とすのではなく、義理を果たす。
するとこんなにあったかい気持ちになれるんだ!と学べる本。
これからの生き方が変わる人も多そう。
面白かった映画
『隠れビッチ、やってました。』
漫画を先に読んでぶっ刺さった。
佐久間由衣ちゃんがドンピシャな役でかわいいし……
主人公の行動がわかりみしかなくて。
最後は父との関係、っていう本質的な問題に迫るとこがめっちゃ好み。
『かもめ食堂』
平和。安心して見れる。
フィンランド行きたくなる。
こじらせとは無縁の世界に行ける……と思いきや、荒んだ女性を癒していくようなシーンも有って、あんな平和そうな国でも、殻に閉じこもっちゃう人もいるんだ!と、ちょっと安心する。
『アイ・フィール・プリティ!』
他人からしたら見た目は全く変わってないのに、「自己認識のワタシ超かわいい!」モードになってから、人生が変わっていく。
わかりやすく元気でる。病んでても観れる。
こじらせ女子に刺さる漫画
『一人暮らしのOLを描きました』
社畜時代にこれ読んでひとりで泣いてた。
コメディのはずなのに社畜が読むと自分の境遇に気づいて泣ける。
『まじめな会社員』冬野梅子
「まじめ」って、いいことみたいに見えるけど、別に自分を押し殺して型にはめてることって、あんまりよくないよね。と知れる。
主人公、自意識過剰すぎるだろ…って思う人も多そうだけど、私はわりと過剰めな人なので、「わかるわかる、昔の自分もこうだった…」と共感ばかりだった。
よくここまでリアルに自意識を言語化できるなと。
『左ききのエレン』かっぴー
広告代理店、デザイナー、コピーライターとかが出てくる話。
作者が元代理店だからこそ、仕事の描写が超リアル。
あんまりこじらせとは関係ないかもだけど、キャラクターの内面の描写が細かくてそれぞれ共感ポイントが有る。
シリアス感とギャグ感のバランスがちょうどよいから仕事の話でも気軽な気持ちで読める。
この記事に登場した男性作者は、谷崎潤一郎とかっぴーさんのみという結果に。
自意識強いと常に頭が高速回転、だから生きづらい
こんな感じです。
傾向として、「行動と言動と思ってることが一致してない主人公」に共感するのかもなーと思いました。
もしこれおすすめ!な作品があったら教えて下さい〜。
以上。
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